​No.005 (2021年3月掲載)

​采配

紹介してくれた人】​大原さやかさん (精神保健福祉士/大学院生/千葉県)  

【お勧めする理由】

本書を執筆した野球人の落合博満氏は、選手時代に三冠王を三度取るなど活躍したのち、中日ドラゴンズの監督としても実績を残しました。その落合監督が、監督を退任したのち、自身の考えをまとめました。本書「采配」は時には厳しい項目があり、受け付けない部分がある方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私なりに印象に残った項目を3点、挙げたいと思います。

 

「欠点は直すよりも武器にする」という項目ですが、「シュート回転」という癖のあるピッチングフォームを並の投手コーチは修正しようと考えます。しかし、落合監督は修正するのではなく「このシュート回転するストレートを武器にする手はないだろうか」と考えます。このことは、癖を特性(強み)と考え、それを伸ばそうとするストレングスモデルを実践していると考えました。

 

「リーダーは部下に腹の中を読まれるな」という項目の「監督は何を考えてやろうとしているのか」を腹の底までコーチに読まれると、それに同調するような行動を取る 監督にすり寄ってくるコーチを生み出してしまう。」現場にいたときに、利用者さんのことを見ないで、影響力のある職員の顔色ばかり窺い、仕事をしていないように見えた職員のことを思い出しました。「コーチの見るべき方向は監督の顔色ではなく、現場であり、選手だ。」大切なことだと思います。

 

「できる・できない両方がわかるリーダーになれ」という項目で、監督には選手時代に優秀で、「できる人」の気持ちがわかる監督と、早くから指導者になり、「できない人」の気持ちがわかる監督がいる中で、落合監督は下積みを経験し、主力選手にもなった両方の気持ちがわかる監督であると自身を分析しました。

 

私は、ある先輩PSWに「病気を持ったPSWになりたいか、それともピアスタッフになりたいか」と問われ、答えに窮していると、「選びなさい。選ばないあなたは信用できない。」と言われ、2週間ほど眠れない経験をしたことがありましたが、この言葉で両方の気持ちをわかればいいのではないかと考えました。そのぐらい示唆を得た言葉でした。