​No.003 (2020年10月掲載)

いのちは のちの いのちへ  新しい医療のかたちー

紹介してくれた人】​青山 碧さん (看護師・保健師/診療所勤務/東京都)

【お勧めする理由】

この本は、新型コロナウイルスが全世界に影響を及ぼしているさなかの2020年7月に出版されました。一人の医師によって書かれた装丁の美しい本です。

 

冒頭で、医療の場では病気学に重きが置かれていることと健康に対する多角的な視点が足りないことを筆者は指摘します。わたしが身を置く看護の領域でも、対象となる人が生活で困っている問題を考えてきました。今は精神保健医療福祉領域を中心にストレングスをみる考えが拡がってはいるものの、一般化されているわけではありません。筆者は病気学に傾いた従来の病院とは違う枠組みで「健康を取り戻す場」の必要性を述べています。例として挙げられるのが神社仏閣や森や海、そして温泉など。安心して身を委ね、全身の感覚を開くことのできる場を「いのちを呼び覚ます場」と表現しています。それは単に物理的なものだけではなく、ひととの関係の在り方も影響します。

 

わたしは以前、患者さんに対して自分の価値を押し付けてご本人の価値観を理解しようとしていませんでした。そんな関係性では、健康を取り戻すどころか、損なうばかりだったと思います。その後、WRAPやリカバリーカレッジという場で多くの仲間と出会い、いまを生きる者同士として水平にお互いの価値や経験を尊重する経験をしました。それは、安心して身を委ねながら自分の生と死(いのち)について思いを馳せられる場でもありました。

 

わたしは、この本によって医療の場では難しいと諦めかけていた「いのちを呼び覚ます」ための人や社会との関わり方を考え直す勇気と希望を得ました。そして、その軸となるであろうピアサポートという概念が、ここに隠れているように思うのです。

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