No.006 (2021年8月掲載)
見えなくなったら、希望が見えた
【紹介してくれた人】阿部憲一郎さん (ピアサポーター/神奈川県)
【お勧めする理由】
まず著者の穴澤さんは、イソップ童話の「ウサギとカメ」の話を出しています。この話は、皆さんご存知の通り、ウサギのように走るのが生まれつき速く、その才能に思い上がっていると、物事を逃してしまう事がある。また、カメのように速く走る事が出来ず、歩みが遅くとも何事も怠らず歩き続けていれば、最終的に成果を得ることが出来る。そんな学びを得ることが出来ます。実際にこの世の中でも生まれつきウサギさんタイプの人や努力家タイプのカメさんタイプの人もいます。どちらが良いということではなく、ウサギさんタイプの人もカメさんタイプの人も、いずれもある道を志せばその道の「プロ」というレベルまで行くことが出来ます。
その上で筆者は「ウサギでもない、そうかといってカメにも成り切れない、そんな自分のような人間は一体どうしたら良いのだろう?」と問いかけています。この本を読んで、著者には失礼ながら、僕は「僕と同じだ」と思いました。もちろん音楽家としても、人間としても、著者の穴澤さんの足元にも及ばないのは元から分かっているのですが、僕も天才・秀才タイプでもなく努力家でもないのです。
著者の穴澤さんは、この本で「小さな成功者」になることを提案しています。穴澤さん自身は、全盲で心臓も悪く、けして環境が良かった訳ではありません。その上、天才・秀才タイプでも努力家タイプでもない訳ですから自分は「大成功者」にはなれないと理解したのです。という訳で、穴澤さんは「小さな成功者」になることを提案しているのです。
この本は「小さな成功者」になるにはどうしたら良いか?が書かれているのです。この本を手に取った時、僕はピアサポーターとして活動しながら、悩んでいました。「この先どうしたらいいのか?」
ピアサポーターとして「小さな成功者」になるにはどうしたら良いのか?
僕は昔、夢中になって練習したギターを、この歳になって再び持つことにしました。そして、精神障害の当事者として、オリジナル曲を書き、自分だけの歌を歌おうと思ったのです。小さなライヴハウスや小さなライヴバーとかでいい。僕にはそれくらいが丁度良い。どこまで出来るか分からない。まずは精神障害者と呼ばれるヤツがどんなヤツか知って欲しい。ギターを持ち、歌を歌い、ギターの弾き語り仲間と、酒でも飲んで、話し合い健常者とそんな変わらないよ、と伝えたいし感じて欲しい。
そんな学びを得る事が出来たおすすめの一冊です。
こちらの紹介文掲載は草の根市民基金・ぐらんさんの助成により実現しています。