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Q.08

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ピアスタッフの雇用を考えていますが、経営を考えると悩みます。ピアスタッフを雇用することでの助成金や障害福祉サービス報酬、診療報酬でのメリットはありますか?

<質問者:ピアスタッフ雇用に関心がある立場の方>

※今回の回答は、しっぷろメンバーからの回答としました。

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【しっぷろメモ】一番最近の障害福祉サービス等報酬の改定は令和3年でした。詳しくは次の厚生労働省による「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定について」を参考にしてみてね。

令和3年度の障害福祉サービス報酬では「ピアサポート体制加算」と「ピアサポート実施加算」が新設されました。ピアスタッフを活用している体制を確保している相談系の事業所が対象で、次の条件を満たしていれば1件につき100単位(おおむね千円程度)が基本報酬に加えて支払われます。

「ピアサポート体制加算とピアサポート実施加算」

「障害福祉サービス等報酬」

 

「障害福祉サービス等報酬」とは、障害のある人に障害福祉サービスや支援を提供した事業所に対して、市町村から受け取る報酬のことを言います。

サービスを継続して提供するためには、人件費、家賃、その他の経緯が必要で、多くの事業所の経営にとって障害福祉サービスは大きな収入源です。

 

障害福祉サービス報酬は、ニーズや社会情勢などを考慮して、おおむね3年に1回見直されています。

障害福祉サービスには、ピアサポートについての支援に報酬が支払われる仕組みがあります。

「地域移行支援サービス費」

 

障害福祉サービス報酬に、はじめてピアスタッフ(ピアサポーター)に関連する項目が盛り込まれたのは、平成30年度報酬改定の地域移行支援サービス費です。

単価が高い地域移行支援サービス費を請求するためには「同様の経験のある障害当事者(ピアサポーター等)による意欲喚起のための活動」(留意事項通知)をしていることを要件の一つとしていました。大きく注目されていませんが、障害当事者の活動を報酬の要件とした点で画期的な出来事でした。

•        対象のサービスは、計画相談支援・障害児相談支援・自立生活援助・地域移行支援・地域定着支援

•        障害者(かつて障害者であった人も含む)と事業所の管理者、協働して支援を行う職員が、障害者

     ピアサポート研修(基礎研修と専門研修)を修了していること

•        障害者を、常勤換算で0.5人以上配置していること

         (上記のサービスでの兼務と複数の障害者による合算が可能)。

•        事業所の職員に障害者に対する配慮の研修を行うこと

•        研修を修了した障害者を配置していることを公表していること

相談支援専門員3人(常勤2人、非常勤1人)、ピアスタッフ2人(それぞれ週15時間勤務の非常勤)がいる相談支援事業所で、事業所全体で、計画作成やモニタリングを月90件、地域移行支援を月5件行ったと仮定すると、ピアサポート体制加算分は月約9万5千円になります。なお、ピアスタッフは相談支援専門員である場合も加算を取ることができます。

 

就労継続支援B型では、一定の要件を満たしていて、ピアスタッフが利用者にピアサポートを実施した場合にピアサポート実施加算(100単位/月)が支払われます。具体的なピアサポートの内容について定められていませんが、当事者性を活かしたプログラムやカウンセリングなどが想定されていると考えられます。

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体制加算は事業所の体制を評価しての加算です。そのため、ピアスタッフ以外の支援者が実施した支援も加算の対象です。以下報酬の例です。

【しっぷろメモ】障害当事者(ピアサポーター等)による意欲喚起の活動は、次の通知に書かれています。小さい記載ですが、興味ある方は見てみてください。福祉の報酬は、税金に関わる活動だけに実は細かく記載されていることがわかります。

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」316〜317頁

課題と今後

 

すべての障害福祉サービス事業所が対象ではなく、相談系と一部の就労継続支援B型、A型にとどまっています。今後の報酬改定で増えるのかどうか注目されます。

また、体制加算、実施加算、A型のスコア方式は、障害者ピアサポート研修の修了を条件としていますが、令和4年5月現在、一度も実施していない都道府県・指定都市が少なくありません。障害者ピアサポート研修がすべての自治体で実施されることが求められるでしょう。障害者ピアサポート研修の開催は、お住まいの都道府県・指定都市の障害福祉担当部署(※)にお問合せいただくと良いでしょう。

さらに、報酬の金額が低いことや加算目的でピアスタッフを雇用する事業所が増えることを危惧する意見も耳にしました。ピアスタッフが通常の人員配置に加えての配置されている場合であれば低い金額だと思われるかもしれません。とはいえ、ピアスタッフの人件費の大半を加算で賄って良いのかという疑問も浮かびます。

なお、ピアサポート体制加算100単位は、地域で中核的な人材である主任相談支援専門員についての主任相談支援専門員配置加算100単位と同じです。他の加算と比較した場合、安いとは言えないでしょう。

 

ところで、医療における診療報酬では、ピアスタッフやピアサポートの加算はありません。医療機関におけるピアスタッフの活動状況について国の調査研究も行われている最中です。今後の動きが注目されます。

 

(※)障害福祉課、障害者支援課など自治体によって名前が異なります。

本質問回答の掲載は草の根市民基金・ぐらんさんの助成により実現しています

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​(2022.6.25掲載)

【しっぷろメモ】ピアサポート体制加算、ピアサポート実施加算、就労継続支援A型のスコア形式は、厚生労働省「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定」に掲載されています。

より細かい要件などは留意事項通知を見ると良さそうです。

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について

「就労継続支援A型のスコア方式」

 

令和3年度報酬改定、就労継続支援A型にスコア方式の仕組みが導入されました。これまで報酬の基準となっていたものは利用者の労働時間でしたが、「労働時間」「生産活動」「多様な働き方」「支援力向上」「地域連携活動」の項目を点数化して評価されることになりました。支援力向上の評価項目に、障害者ピアサポート研修修了者による、就労や生産活動の支援の実施があります。

尚、質問がある方は<ネタ募集フォーム>から是非、投稿ください。

しっぷろ運営メンバーにてQ&Aのアイデアの1つとして検討させていただきます。

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