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Vol.06 石村 徹さん

​(2024.04.04 掲載)

しっぷろインタビュー6人目は、東京都内でピアスタッフとして働く石村さんです。インタビュー内容として主に次の7点についてお聞かせくださいました。

①働くようになった経緯、②お仕事内容、③やりがい、
④今後やってみたいこと、⑤対人支援の上で大事にしたいこと、⑥好きな言葉やモットー、⑦休日の過ごし方、

​ 

是非お読みください^^

年代:50代     

地域:東京都

勤務先:地域生活支援センター

いて何年目か:2年目

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石村さん、この度はインタビューにご協力くださりありがとうございます。
まずはじめにピアスタッフとして働くようになったきっかけや経緯について伺ってもよいでしょうか。

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石村さん

私は発症して10年後に精神障害者手帳を取得するまで、ピアの仲間というものを知らずに闘病していました。手帳を取得して最初の勤務先を病気退職してから、障害者雇用につながりました。そこで初めてピアというものを知りました。

まず、身近な友人と1対1のピアサポートを見よう見まねで行いながら、WRAPのクラスを受講しました。WRAPのクラスでは、受け入れてもらうことの暖かさを存分に感じることができました。一時期WRAPにハマって、ファシリテーターの認定を取得しました。障害者雇用で事務をやりながら、50歳直前に結婚して転居し、地域移行のボランティアのピアサポーターになりました。その後にコロナ禍でピアサポーターの活動が制限されました。私はある病院さんとZoomを使った地域移行をやるために、ピアのみのグループを立ち上げて、地域移行の活動を続けました。そんな中で、千葉でピアスタッフとして働いている友人(Zoomで頻繁にやり取りをしている)からある日声がかかりました。
「東京の事業所でピアスタッフを募集している。興味があるなら応募してみないか?」と。

コロナ禍で病院から地域移行のお声がかかることは少なく、しかもネームバリューも信用もない私のグループは新規の病院さんを開拓することもできずにいました。私は暇を持て余していましたので、応募することにしました。東京都の私から、千葉の友人、さらに横浜のピアサポーターへとつながり、最終的には東京都にある今勤務している事業所へとつながりました。ピアスタッフが退職するというその事業所の面接を受けて採用されました。首都圏をぐるっと回った繋がりに、コロナ禍におけるZoomの力を強く実感しました。そのような経緯で、今の事業所で働くことになりました。

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仲間とのつながりが、いまのピアスタッフの仕事に繋がったんですね。ピアスタッフとして働く以前のお話も含めて、お聞かせくださりありがとうございます。今のお仕事では具体的にはどのような業務に従事されているんですか?

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石村さん

今は地域生活支援センターで、1日4時間の勤務を週2日行っています。主な仕事内容は2つ有ります。1つはプログラムの実施です。月2回あるWRAPのプログラムやその他のプログラムなど、いくつかのプログラムのサポートや、自分で企画したプログラム(Zoomの講習や、リカバリーの講習)を利用者さんに提供することです。私の勤務する事業所は、人とのネットワークの構築を重視しているので、私が今までにピアとして作ってきたネットワーク(人脈)を利用者さんに紹介することを重視しています。知識だけでなく、ネットワーク(人脈)も紹介しています。

もう1つは利用者さんからの相談に乗ることです。利用者さんは色々な悩みを相談しにいらっしゃいます。私は薬について、特に減薬について実体験に基づいてアドバイスすることができるので、それを手掛かりに利用者さんと信頼関係を作ることが多く有ります。そのほかの仕事として、ピアスタッフと専門職が協働して事例検討会を行うのに参加することや、勤務先にお見えになる精神保健福祉士や看護師を目指す学生の方にピアスタッフの活動を説明することも有ります。

 

私の勤務する事業所は、職員の自主性を尊重するところなので、新しいプログラムの提案を楽しみながら熱心に行っています。今まで、実現したものは、Zoom講習とリカバリーの研究会の2つですが、薬のプログラム、生活ノウハウを紹介するプログラム、福祉サービスを知るための勉強会などたくさんのプログラムの提案をしました。今後、少しづつ実現したいです。

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そうなんですね。どんなことを業務のなかでされているのかが良くわかる内容をありがとうございます。そうしましたら、いまのピアスタッフとしてのやりがいなどはいかがでしょうか。

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石村さん

以下の3つの点で支援センターのピアスタッフとしてのやりがいを感じています。私が紹介したネットワーク(人脈)に、利用者さんが自ら進んで参加し、新しい人間関係を築いていくときに自分の仕事の成果をはっきりと見ることができてとても嬉しいです。主に3つのグループを紹介しているのですが、それぞれに何人かの利用者さんが参加しているのを見ると紹介して良かったと思い、仕事にやりがいを感じます。さらに、自分が提案したプログラムを実施するときにとてもエネルギーが出てきます。自分でプログラムの内容を考え、テキストを作り、利用者さんに提供し、それを元に利用者さんが考えてその結果を話し合っている場面や、プログラムの中で利用者さんが楽しそうに話し合っているのを見ると、プログラムの内容だけでなく、利用者さんの交流にも私が役に立っていることが実感できて、嬉しいです。
 

また、ピアスタッフとしての私に声をかけてくれる利用者さんも何人かいらっしゃいます。「ピアスタッフの方が相談しやすい」「ピアスタッフだから薬の相談をしたい」などとおっしゃってくださいます。地域生活支援センターにピアスタッフがいる価値を感じることができる瞬間です。専門職ではない自分の存在意義を感じます。さらに勤務先の事業所が、支援センターとして幅広い利用者さんに対応することに役に立っていると感じることができます。

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石村さんが精力的に、利用者さんとの関係づくりをなさったり、プログラム運営をしている様子が伝わってきます。手ごたえを感じるのはとても嬉しいですよね。今後、チャレンジしてみたいことなどはありますか?

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石村さん

資格の取得をしたいと思っています。センターの運営上で利益となる「ピアサポート専門員」の資格はもちろんです。さらに相談支援専門員の資格を取得すると、計画相談の業務を行えるようになるので、職場での存在価値が上がると思っています。それだけではなく、社会福祉士や精神保健福祉士の勉強をしています。勉強すると自分の支援の幅が広がり、自分の支援の理論的裏付けを得ることができます。

私の妻も精神障害者ですので、家族に対するサポートをより厚くすることもできるようになります。数年のうちに社会福祉士か精神保健福祉士の資格を取得したいと思っています。また、ソーシャルワーカーの資格を目指すと、対人支援に関する多くの書籍に目が向きます。心理学に基づいた対人支援や、スーパービジョン、法律のことや生活困窮者支援、そもそもソーシャルワークってなんぞやという事、ソーシャルワーカーが陥りがちな抑圧の構造に対抗することなど、知りたいと感じることがたくさんあります。

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仕事につながるような学びが、仕事を越えた範囲にも活かしていこうとされる石村さんのエネルギーを感じます。そんな石村さんが人と向き合う仕事をされる時に大切にしていることはどのようなことになりますか?

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石村さん

大切にしていることは、3つあります。1つは対人支援の理論や技術を学び、それを実践に活かすことです。バイステックの7原則をはじめとして、心理学に基づいた対人支援の方法、面接技術など支援の幅を広げるために学ぶべきことはたくさんあります。まだ勉強を始めたばかりですが、1つ1つ学びながら実践を行って、身につけていきたいと思っています。

 

もう1つは制度の枠や、立場の枠を超えた支援をすることです。よくバウンダリーの話を聞きます。私はバウンダリーとは破るべき壁だと思っています。多重関係を厭わないこと、必要があれば支援センターの勤務時間や勤務場所を超えて支援を提供することは、私の理想の支援の形です。でも、さすがに医師法に触れることはできないしやらないようにしています。3つ目は専門職の上司・先輩と良い関係を築くことです。パラレルプロセスなどとよく言われますが、同僚との対人関係が利用者さんに対する時の自分の態度に大きく影響します。幸い、上司・先輩は良い方ばかりなので、うまくコミュニケーションを取りながら支援を続けています。

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いまの職場の上司・先輩との関係を含めた上で大切にしていることをお聞かせくださってありがとうございます。特に同僚との関係が、利用者さんを前にしたときのご自身の態度に大きく影響するというのは、人とのネットワークをこれまで築いてこられた石村さんならでのはポイントなのかなと思ってお聞きしました。そんな石村さんの好きな言葉やモットーなどありしたら教えてください

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石村さん

「壁を壊す支援」に憧れます。尊敬する加藤忠相さんの言葉です。世の中の制度や枠組みなどを超えたところにこそ、本当の支援があると思っています。対人支援で大事にしていることにも書きましたが、制度が整ってきた今だからこそ、枠を越えることや壁を壊すことが重要だと思っています。これは、制度の狭間に落ちて支援が受けられない人を支援することにも通じます。また同じ加藤さんの言葉に、「ケアは気にかけること、アシストは寄り添うことという意味もある」ともあります。お世話することや手助けすることでなく、気にかけながら寄り添うことこそ理想の支援だと感じています。伴走型の支援とよく言いますが、支援者が主体になるのではなく、あくまで利用者が主体になることを表していると思っています。

WRAPにも好きな言葉があります。「希望」「学ぶこと」です。希望を持つことと学ぶことは、リカバリーと深く関係していて、私のリカバリーの中心的な概念です。

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気にかけなら寄り添う、素敵ですね。好きな言葉から石村さんのお人柄が伺えるように思いました。

​最後にピアスタッフの仕事と以外の側面を負うかがして終わりにしたいと思うのですが、休日はどのようにお過ごしですか?

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石村さん

支援センターの勤務の休みの日には、主に地域移行のグループの仕事をしています。病院訪問を中心として、病院との連絡調整やグループの会計管理、スポンサー(東京都やピアサポーター活用アドバイザー)などとの打ち合わせ、メンバーの教育プログラムや教育テキストの作成、メンバーのいろいろな相談に乗ること、地域移行に欠かせない630調査やReMHRADのデータの解析などなど、やりたいことややるべきことは山ほどあります。それらの仕事の休みには、家事や妻のサポートをします。

 

家事全般(炊事、掃除、洗濯、買い物、家計の管理)を主に行うこと、妻の話し相手をすること、妻の通院の付き添いをすること、飼っている猫の世話をすることなどです。猫が好きなので、たまには猫グッズを買うことが楽しみになっています。今日は猫のマグカップを購入しました。あとは、ソーシャルワーカーの資格取得のために教科書やその他の参考書を読むことに時間を使っています。読めば読むほど知りたいことが増えますし、興味を持てる書籍も増えるので、家の床が本の重みで抜けないだろうかと心配しながら、本を入手しています。最近は論文を読むことも始めたので、読書量がさらに増えて悲鳴を上げています。(笑)

最後に、友人たちとの付き合いです。支援センターに勤めるきっかけを作ってくれた友人と、月2回のZoomによる勉強会を続けています。ネットワークを充実させることも大事ですので、付き合いも欠かさず続けています。

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そうなんですね。休日も色々な学びに時間をお使いになっていることから、石村さんの情熱を感じます。そのような日々の中で猫ちゃんがと共に、家事全般もなさっているとは頭が下がります!今回は沢山のお話をお聞かせくださりありがとうございました。石村さんの益々のご活躍を応援していますね。

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