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Vol.07 大喜田 聡さん

​(2024.07.07 掲載)

しっぷろインタビュー7人目は、千葉県でピアスタッフとして働く大喜田さんです。インタビュー内容として主に次の7点についてお聞かせくださいました。

①働くようになった経緯、②お仕事内容、③休日の過ごし方、
④やりがい、⑤働き方の変化、⑥対人支援の上で大事にしたいこと、⑦働き方の変化、⑧今後チャレンジしたいこと、⑨好きな言葉やモットー

是非お読みください^^

年代:40代     

地域:千葉県

勤務先:相談支援事業所

いて何年目か:7年目

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大喜田さん、この度はインタビューにご協力くださりありがとうございます。
まずはじめにピアスタッフとして働くようになったきっかけや経緯について伺ってもよいでしょうか。

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大喜田さん

ピアヘルパーとして9年と、クローズでヘルパー会社にて3年ほど働いてから、現在の相談支援事業所で、相談支援専門員とピアサポーターをしています。現在7年目になります。主治医であった院長に当時10年ほどお世話になっており、今の仕事の募集があるから、面接受けてみてはというお話しがあり、面接を受けたのが始まりです。

 

ピアサポーターになったきっかけは、所属している法人に、多くのピアサポーターがいて活躍されていたので、相談支援専門員として入社しましたが、当事者性を活かしたピアサポーターの仕事もやらせてもらえるようになり、最初は、地域に住む方々の服薬確認や土曜日朝食会などのピアサポート業務を行ったり、退院促進のため看護師に同行して入院患者さんに会いに行ったりしたところから始まりました。

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そうなんですね!職場にすでにピアサポーターの方が、複数いらっしゃるんですね。そして土曜も勤務があるんですね。そうしましたら、今のお仕事では具体的にはどのような業務に従事されているんですか?

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大喜田さん

現在は訪問看護に同行してひきこもりの方や未治療の方への訪問同行をしたりしています。今の法人では、全国的にも早い段階からピアサポーターの雇用をしていたとのことで、現在はピアサポーターの育成をするオンラインの講座を開催しています。そんな中で仕事をしているとピアサポーターの土壌がどこにでもあるものと思ってしまいますが、実際にはそうでもないところが大半とのことなので、全国のピアサポーターと関わるといかに自分が恵まれた環境にいるのかと思う次第です。ただ、早い段階から雇用をしているということは、それなりに求められるものが多く、離職していくピアサポーターがいるのも否めないので、明日は我が身と思いながら必死について行っている気がしています。

 
具体的な仕事内容は、相談支援の業務と、ピアサポーターの業務があります。相談支援の業務では計画相談を中心にしていて、福祉サービスの受給者証発行のための計画書の作成やモニタリングでの面談を中心にしています。面談の際に、ピアサポーターの視点からの助言や自分のリカバリー体験を差し出す場面もあります。時として、自分の経験が役立つ時もあります。

仕事ができなくて、家に居た頃のことは、無駄な時間を過ごしたと思っていましたが、その時の辛かった日々の話しが人の役に立つとは思ってもみなくて、今は、当時の自分のことも肯定できている感じがしています。勤務は、週5日です。朝は、7時30分くらいに出勤して、準備しながら、同僚のピアとのおしゃべりの時間にしています。メールなどを書くときもありますし、ただ話している時もあります。9時に始業で、一日の予定の確認をし合いながら、スタートしています。面談が一日に3件くらいあり、面談内容をまとめたり、計画書を書いたりして過ごしています。それ以外は、訪問に行くことが多いです。概ね市内のご自宅や事業所を中心にしています。18時まで勤務です。

 

あっという間に一日、一週間は終わります。通常業務以外には、訪問看護にピアサポーターとして同行して、ご自宅などに訪問することもあります。ひきこもりの方への訪問や、病院へ退院促進の名目での訪問もあり、頻繁ではありませんが、入院患者の方への訪問をすることもあります。

また、デイケアのプログラムをすることもあり、お薬と心理教育のプログラムをドクターと一緒にすることもあります。週1回は東京都内のデイケアに行って英会話、料理のプログラムの担当をすることもあります。それ以外は、圏域や市町村の会議で当事者委員としての出席をすることもあります。その際は、なるべく発言するようにして、当事者としての意見を出すようにしています。最初は、恥ずかしいと感じていましたが、やはり当事者委員として呼ばれている限りは、発言していかないとならないと思っています。ピアサポーターの役割の一つとして発言をしていくことも必要なのではないかと思います。

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本当に多岐に渡る業務をなさっているんですね。驚きました!お忙しい日々のなかでの休日はどのように過ごされていますか?

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大喜田さん

休日は、有志のピアで行っているPTN(ピアトーキングネットワーク)というオンライン勉強会のようなもの。月1回の会議と月1回の会合で話しながら考えを深めていくことをしたりすることだったりがあります。それ以外では、友人とランチ食べ歩き、夜の居酒屋飲み歩きなどでしょうか。身体に支障が出ない程度に飲んだり食べたりしてリフレッシュしています。

 

居酒屋では多くの人々と出会います。はじめは全然知らない人ばかりでしたが、だんだん顔見知りになり、コミュニティーを形成しているような気がしています。デイケアとさほど変わらない気がしてしまうのは僕だけでしょうか・・・笑 そんなナイトケア?を中心にしながら、夏は地域の祭りに仲間と参加したりしています。独り身ですので、そんな仲間と過ごせるのですが、地域の仲間と過ごせるのは、それはそれで幸せの一つの形かなと納得しております。

 

そして、さほど知らない人たちと話しができること自体が自分のリカバリーの目標の一つでしたので、充実した休日を過ごせています。

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お仕事も休日もとても充実しているんですね!そのような中で、ピアサポーターとしてのやりがいなどはいかがでしょうか。

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大喜田さん

ピアサポーターのやりがいについては、もちろん、華やかな舞台で講演することや会議で発言することも楽しくてやりがいを感じますが、日頃の支援の中で、自分が辿ってきたリカバリー体験の中で学んだことを活かせたり、或いは、伝えることで、面談時に場が和んだり、共感してもらえるときやりがいを感じるのかなと思います。自分自身が具合悪くてのたうち回っていた頃のことや、それをどうにかしてきた経験を伝えることができるのは、伝えるタイミングによっては有効的なのだなと思います。そして、そういった経験をお伝えしていた利用者さんが、実際にご自身がリカバリーしていって、少しずつ人がいる場に出て行って、先ずは事業所に通い出したときは、とてもやっていて良かったなと思います。ピアサポーターとして嬉しいひと時です。

 

自分自身の経験を言語化して人に伝えることは、自分自身のリカバリーにも繋がっていくし、支援者としての成長にも繋がるのだと思います。自分が社会に出たての頃、最初に行った傾聴ボランティアで人に必要とされる感覚を味わったことが原点ですが、まさにそういった人に必要とされるということを感じる時こそが、ピアサポーターとして働く上でのやりがいであると感じています。

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大喜田さんがご自身の経験を振り返ったり、お相手にあわせて工夫しながら言語化されている姿がとても伝わります。そんな大喜田さんが人と向き合う仕事をされる時に大切にしていることはどのようなことになりますか?

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大喜田さん

「言葉」と「間合い」を大事にしています。安心、安全、快適にお互い過ごせるようにできるようにしています。距離感を縮めすぎたり、広げすぎたりしないで話せる状態をいかに作っていくかを大事にしています。話しを聞く姿勢を取り、徐々に話しをしてもらう際に言葉遣いにも気をつけています。

 

妙に硬くなり過ぎない程度にすることが大事で、お互い自由に話せるように砕けすぎてもいけませんが理解しやすい言葉選びや、興味を引くように話すことも大事ではないかとも思っています。また、自分自身が話しすぎないで、相手の考えや言葉を引き出す作業をすることを大事にしています。答えはそれぞれの中にあると思いますので、その答えを自分との間に出してもらって、出した答え、言葉、考えについて話すこと、相談することが支援で大事にしていることです。

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大喜田さんは、お相手の考えや言葉を引き出すことを大事にされているんですね。そして”答えはそれぞれの中にある”というお考え、とても素敵で胸に響きました。

いまピアサポーターとしての経験を重ねて、自分の働き方が変化してきたと感じますか?感じるとしたらそれはどんな所ですか?

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大喜田さん

経験を重ねて自分の働き方はより相手の考えを尊重できるようになってきている気がしています。

最初の頃は、自分の物差しや価値観で測っていたことが、相手の物差しや価値観を受け入れるようになれてきていると思っています。前より人を受け入れることができるような感覚があります。どんな方でも経験があるのでその経験を尊重をして、言葉を待つことができるようになってきました。

それは大きな変化だと思います。前はこちらのペースで物事を進めがちであったと思っています。

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尊重する、価値観を受け入れるというのは言葉で言うのは簡単ですが、その実はとても難しい事でもありますよね。けれどそこを意識することが大切であると気づかされました。ピアサポーターとしての経験を重ねてきた大喜田さんのこれからチャレンジしてみたいことなどはありますか?

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大喜田さん

今後やってみたいことは、ピア仲間と何かイベントや事業ができていったらいいなと思います。叶う夢かはわかりませんが、日本の精神保健医療福祉の枠の中で、ピアスタッフやピアサポーターが確固たる地位や役割を担えるようになるための活動をしたいと思います。お世話されていた自分達が世の中に対して恩返しをしながら、まだ困っている人たちを救済するような活動ができれば良いと思います。そして、それをピア仲間とすることが目標です。

 

どのような形かはまだ漠然としていますし、きっとイベントや事業をするには先立つものも必要ですが、追々気の合う仲間たちと思案したいと思っております。

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やりたいことを考えるのたのしいですよね!最後に大喜田さんの好きな言葉やモットーなどありましたらぜひ教えてください

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大喜田さん

好きな言葉は「ケ・セラセラ」です。日本語だと成るように成るさという言葉です。

 

発病当初の20代前半の頃に、実家にいて頭が締め付けられるような感覚と、妄想と焦りと、すごく苦しんでいた時に、母がいつも繰り返し言っていてくれた言葉です。この言葉を信じてきてよかったと思っています。今でも、困難に直面した時にこの言葉を唱えて時間を少しやり過ごしていると、どんな結果であろうと成るようになって行き、心配していたこともそれほどでもなかったりすることがあるので、自分に取っては魔法のような言葉で心が安定して安心できる言葉です。

 

ですので、この言葉が好きな言葉です。また、自分自身の生き方やモットーにも通じていると思います。「ケ・セラセラ」で困難をやり過ごすことでなんとかなってきた気もしています。

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お母様が繰り返しかけてくださった言葉なんですね。言葉そのものもとても素敵な意味を持つことに加え、言葉以上の意味やちからを感じました。大喜田さんにとっての大切なことばを教えてくださってありがとうございます。大喜田さんのこれからを心から応援しています!

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